薬剤師のおしごと③
残薬とはなんだ?
剤師のおしごと。
日本は「今のところ」どんなに高くても。
保険を使えば3割負担で医療行為、薬を受け取ることができる。
高齢者になれば1割、公費負担がある人は無料だ。
今のところ・・・。
素晴らしいシステムでもある。
その反面、色んな弊害ができているのだと思う。
その一つが。
残薬。
『 残薬 』とは実際に医師から処方され、薬局で受け取った薬ではあるが、様々な理由で服用されなかった薬のこと。
様々な理由。
例えば。
体調の変化により処方が変更になり、薬が服用されなかった。
薬の飲み忘れで余ってしまった。
自己判断で辞めてしまった。
認知症、その他体の不調で飲むことができなかった。
理由は様々。
そんな様々な理由で飲まれずに残ってしまった残薬。
年間に500億円分あるという。
500億ですよ。
500億・・・。
社会保障費は毎年1兆円近く増えているのに。
どう言う内訳ですか・・・。
頭の悪い僕には、もはや意味がわかりません。
残薬は何故できるのか?
そこで、僕たち薬剤師には国からも、その残薬をなんとかする様に指令が出されている次第なのだけど。
この残薬は金額も相当な問題ではある。
この残薬は薬剤師だけの解決できる問題ではない。
でも、薬剤師だからこそできることでもある。
どうやって、この大量の残薬を解消していくのか・・・。
僕の場合、スタートは。
「 なぜ飲めなかったのか? 」
から、始める。
単に飲み忘れただけなのか。
飲み方が分からなかったのか。
味がダメだったのか。
飲んでる途中で副作用がでたのか・・・。
その飲めない理由を1つずつ解消していく。
残薬の何が問題なのか?
年間の残薬が500億円分あるというのもかなりの問題なのだけど。
もう一つの大きな問題は。
もしかしたら。
処方医は患者の飲めていない状況を
把握せずに診察をしている可能性があるということ。
そうするとどうなるか?
血圧高めの患者さんが高圧薬Aという薬を処方された。
ところが患者はなんらかの理由で高圧薬Aを服用していなかった。
次回の診察時に処方医は高圧薬Aを飲んでいない状態の患者を診る。
当然飲めていないので血圧は高いまま。
となると、当然、処方医は下がっていない血圧を下げるために降圧剤Bを処方する。
・・・・。
誰かが、この降圧剤Aを飲めなかった理由を解消しなければ。
きっと後から処方される薬も飲めない。
そんな感じで飲めない薬が増えていったりする。
本当に、いろんなパターンがある。
逆に、処方された薬が飲めていないにも関わらず。
検査値も安定している、体調もいいと言う患者もいる。
こう言う場合は、処方自体を止めて様子をみることで残薬を解消することが出来るかもしれない。
本当に必要な薬、命に関わる様な薬の場合は確実に飲める方法をサポートすることもある。
薬剤師って本当に、あの小さな店の中で何をしているのか・・・?
薬をもらうところであるのは間違いない。
でも、あの薬が出てくるまでに様々な情報のやり取りや確認がなされているのだ。
持ち込まれた大量の残薬の数を数え、使える薬と使えない薬を仕分ける、処方日数を合わせる、処方医に問い合わせる。
処方医と飲めない理由、対策を提案し共有する・・・・。
簡単な様に見えてかなり手間と時間がかかる作業。
そしてかなり地味。
残薬は誰が背負うのか?
実家に飲まれていない薬はないだろうか?
おばあちゃん、おじいちゃんの家によくわからない薬が大量にないだろうか。
年配者ほど医師の言うことは絶対という意識が強い。
患者が医師に薬が飲めていないことを言えない。
言うと怒られる、悪い気がする、せっかく出してもらってるから、病院の売り上げが下がる・・・。
そんなことは全く関係ない。
もし、余っている薬があるのなら是非、薬局に相談して欲しい。
残薬にはお金の問題もあるが、誤って服用してしまう可能性もある。
期限が切れていることも多々ある。
健康被害が出る可能性もあるのだ。
タンスの引き出し、冷蔵庫のなか・・・。
年間500億とうい金額をどうやって算出したか詳しい方法は知らない。
が、厚労省のお偉いさんが計算したんだと思う。
金額の大小はあるにしろ、かなりの残薬があることは間違いない。
保険を使って薬をもらうことで、どれくらいの金額が薬代にかかっているのがという意識低い。
これは薬をもらう患者側、処方する医師、薬を渡す薬局、全ての課題であると思う。
これらのお金の出所は僕たちが日々納め続けている税金であり保険料であることを忘れてはいけない。
決して「無料」ではないし。
「3割引」になっているわけではない。
自分や誰かが納めている保険料を使っているだけ。
そして、それを補うために毎年保険料は上がっていく。
近い将来、自己負担の割合も増える可能性もあるかもしれない。
長くなりましたが。
残薬はただの飲み忘れではない。
そこには解決していかなければならない、たくさんのことがあるのだと言うことを書きました。
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